「女性活躍推進法」は私たちにどう関係するのか
―女性管理職を増やすためだけの法律ではなかった―
こんにちは。スマートキャリアコミュニティ運営局の金高です。
本日は、よく耳にする「女性活躍推進法」とは一体何なのか、私たちの働き方にどんな影響があるのかを調べました。
実は、この調査を実施するまで「女性活躍推進は女性管理職比率を上げるための法律」であり、
子育て中の自分にとっては関係のない法律だと偏った認識をしていました。
この調査をきっかけに、女性活躍推進法の内容を把握することや、企業の取り組みを理解することは、これから長く働く私たちにとって非常に関係が深いものであることがわかりました。
ぜひ、今後の働き方を選択するための参考の一つとなればと思います。
【目次】
・女性活躍推進法とは
・企業の取り組み
・えるぼし認定企業でみるべきポイント
・私たちと女性活躍推進の関係
◆女性活躍推進法とは
正式名称は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」です。
働く女性に関わる法律として、過去を遡ると
1986年男女雇用機会均等法
1992年育児休業法
1999年男女共同参画社会基本法
2003年次世代育成支援対策推進法
このほか労働基準法の中にも女性労働者のための各種規定があるなど、
女性の働く機会や性別に関わらないキャリアアップに関する様々な支援制度が策定されています。
その中で、2016年に施行された女性活躍推進法 は、
女性活躍推進計画の策定、提出、情報公開を義務づけたことなどが特徴です。
(※1企業規模により、実施時期に違いはあります)
(※1)常時雇用する労働者301名以上の事業主は2016年から、101~300名以下の事業主は2022年から、女性活躍推進の取り組み開示が義務となります。
まず、この女性活躍推進法には『2つのポイント』があります。
- 女性に対して採用、教育訓練、昇進、職種変更、雇用形態の変更など、積極的に機会を提供すること
- 家庭生活と職業生活は男女を問わず、相互の協力と社会の支援で円滑に行うこと
女性活躍推進法の第二条2項には、このように記載されています。
「女性の職業生活における活躍の推進は、職業生活を営む女性が結婚、妊娠、出産、育児、介護その他の家庭生活に関する事由によりやむを得ず退職することが多いこと、その他の家庭生活に関する事由が職業生活に与える影響を踏まえ、家族を構成する男女が、男女の別を問わず、相互の協力と社会の支援の下に、育児、介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たしつつ職業生活における活動を行うために必要な環境の整備等により、男女の職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立が可能となることを旨として、行われなければならない」
これは、女性の採用や昇進・昇格を促進する制度の策定やその実施だけでなく、
性別に関わらず家族として家庭生活の役割を全うすることが必要であり、
そのために男女が協力しあうこと、
またその支援としての社会(国・地方自治体・企業)が制度をつくり、
男女問わず活用できる状態をつくることが必要であるという条項になります。
男女共同参画社会基本法においても、同様の条項がありますが、
女性活躍推進法はより具体的に明記され、
またその実行、数値目標とその実績の公開を義務化したことが大きな違いと言えます。
女性活躍推進法の義務化範囲が広がり、取り組む企業が増えると
男性の家庭生活と職業生活のバランスや役割にも変化が及ぶことになりそうです。
◆企業の取り組み
では、企業は具体的にどのような取り組みを行っていくのかを確認していきましょう。
女性活躍推進法により、企業は
- 自社の女性の活躍状況を把握し、課題を特定する
- 課題を解決するために、取り組みと数値目標を設定し、提出する
- 取り組み結果を公表する
など、実施していくことが義務化されました。
女性活躍推進法が企業に求めていることの主旨は大きく2つ 。
令和元年の法改正では、以下の『2つのポイント』に関する情報公表が強化されました。
- 機会を提供すること
- 家庭生活との両立のための雇用環境を整備すること
▼機会の提供(以下、1つ以上の情報を公開する義務がある)
-採用した労働者に占める女性労働者の割合
-男女別の採用における競争倍率
-労働者に占める女性労働者の割合
-係長級にある者に占める女性労働者の割合
-管理職に占める女性労働者の割合
-役員に占める女性の割合
-男女別の職種または雇用形態の転換実績
-男女別の再雇用または中途採用の実績
→ 具体的な取り組みとして、
男女に差をつけることなく女性を採用すること、
また従来の日本企業では女性は事務職やサポート業務に従事することが多かったことから、
性別で業務を分けるのではなく能力や本人の意思に応じた
職業選択ができる環境を整えていくことが企業に求められていると言えます。
▼家庭生活との両立のための雇用環境の整備 (以下、1つ以上の情報を公開する義務がある)
-男女の平均継続勤務年数の差異
-10事業年度前およびその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
-男女別の育児休業取得率
-労働者の一月当たりの平均残業時間
-雇用管理区分ごとの労働者の一月当たりの平均残業時間
-有給休暇取得率
-雇用管理区分ごとの有給休暇取得率
→具体的な取り組みとして、
男女共に長く働くことができるよう制度を策定し、
それが実行できていることを公表することが求められています。
男性も女性も育児休業を取得することを推奨する制度、
残業時間を削減する制度、有給休暇取得促進制度など、
各社の状況に応じた制度を制定し実施していくことが求められています。
ここで、注意しておきたいのが、
法律ではこれら具体的な取り組みをすべて実施することまでは求めていないことです。
各社の女性活躍の問題点を明らかにし、取り組みを行い、
上記の内最低1項目の実績数字を公開しましょうというものになります。
企業により、起こっている問題やその解決方法が異なるため、すべての会社で同一の制度ができるわけではないことを抑えておきましょう。
◆えるぼし認定企業でみるべきポイント
さらに、女性活躍推進法「えるぼし認定」という制度があります。
女性活躍推進の取り組みを推進し、高い実績をだしている企業に送られる認定制度です。
この認定制度は、採用、継続就業、労働時間等の働き方、管理職比率、多様なキャリアコースの5つで評価されています。
特に仕事探しの際に注目したいのが『多様なキャリアコース』です。
- 非正社員から正社員への転換
- 雇用管理区分間の転換(昇格・昇進などのキャリアアップ)
- 過去在籍した女性の正社員としての再雇用
- 30歳以上の女性の正社員としての採用
などが挙げられ、結婚や出産を機に退職をした女性や、家庭と仕事のバランスを考えて一度退職し、派遣やフリーランスを選択した女性の再雇用実績などを評価しています。
コーポレートサイトや採用ホームページに「えるぼし認定」 マークがあることを確認したり、
厚生労働省のえるぼし認定企業一覧などで確認してみるとよいでしょう。
【参考】
女性活躍推進法には、罰則はありません。
しかし、厚生労働省でデータベース化され、誰もが検索をできるため、対策をしている会社とそうでない会社は一目瞭然となります。
今後、行動計画の策定義務対象となる企業が増えるなどして女性活躍推進に関する情報がもっとオープンになっていくと、このデータベースを活用し、選ばれる企業とそうでない企業とに分かれて行くことになります。
このように女性の管理職登用以外にも、
女性も男性も家庭と仕事を両立し長く働くことを目指した法律であること、
またライフステージに応じて正社員という働き方を止めた女性に対しても門戸を大きく開く対策となっています。
◆私たちと女性活躍推進法の関係
女性活躍推進法は、女性の管理職登用ばかりが注目されがちですが、それだけでないことをご理解いただけたかと思います。
私たちはこれらの情報を元に、今後どのように働きたいのか、
また、自分の家庭生活と照らし合わせてどのような取り組みをしている企業で働くことが理想の労働生活を送ることに繋がるのかを考えていく必要があります。
家庭ごとに様々な環境があり、一人一人働き方も、働く事への考え方も異なります。
その中で、自分はどう生活していきたいのかという意思を持ち、選択をしていくことが重要となっています。
◆あとがき
スマートキャリアを立ち上げた時にお話をお伺いしたスタッフの方の言葉が今も心に残っています
「私たちスマートキャリアは、社会の動きの先にいる。社会が変わることばかりを期待していては、何も変わらない。」という言葉です。
確かに女性活躍推進法で企業の動きが大きく変わり、より女性も活躍しやすい社会になることが期待できます。
その中で、私たちビースタイルスマートキャリアは、
これからも先頭に立ち、「自分らしく、長く働く」ことを体現していくことで、
多様な働き方がより社会に浸透することを推進し続けます。
この記事を書いた人
金高幸恵(かねたか ゆきえ)キャリアコンサルタント(国家資格)
2児の母。2018年4月にスマートキャリアを利用してビースタイルに入社。
仕事と子育てを両立するため、時短で働く。
現在はスマートキャリアコミュニティの運営に携わっている。
ビースタイル入社までの詳細経緯はこちらをご覧ください。
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